地方J3クラブの実態を考える

JリーグにはJ1からJ3まで全国に様々な規模のクラブが存在します。今回NUMBERでガイナーレ鳥取の記事がありましたので紹介したいと思います。

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森岡の2018シーズンは、選手を獲得する作業から始まった。約半数の選手が鳥取を去ったからだ。

「ブラジル人選手以外は、トライアウトやセレクションの練習参加などで、自分の眼で見て、スキル面、メンタル面などを考慮し、強化部と共に、来てもらう選手を選んだ」

また、選手に対する年俸を抑えることも決まっていた。

バスで片道2時間かかるホームの試合での前泊費用、アウェーへの移動費(10時間以上かかるバスではなく、列車を使用)、練習後の食事提供など、選手の疲労軽減のための経費を捻出するための1つの策だった。

「月給10数万円の選手も少なくなく、毎食栄養管理が行き届いた食事の確保は難しい。練習後の1食であっても、しっかりとバランスの良い食事を摂ることが大事だと考えました。応えてくれたクラブには感謝です」

フィジカルトレーナーの必要性。
コンディションの管理を選手自身に任せることには限界があると、1年目はいなかったフィジカル・トレーナーも雇用し、毎日の排便や睡眠の質と量、練習後の疲労度などを選手から聞き取り、体調の「見える化」にも取り組んでいた。

この短い文章の中に、J3クラブの厳しさがいろいろと詰め込まれています。

・バスで片道2時間かかるホームの試合での前泊費用

→J1やJ2クラブではホームゲームにおいてもホテルなどで前泊していることがあります。

・アウェーへの移動費(10時間以上かかるバスではなく、列車を使用)

→昨年、鳥取の移動が大変という話が話題にあがりましたが、選手のコンディションを考慮すると極力短時間で移動できることにこしたことはありません。ただ、鳥取という立地を考慮するとなかなか大変な問題です。

・練習後の食事提供

→専用の練習場を持つことと食事提供が可能な環境が揃ってい無いと実現しないのですが、選手のコンディションを安定させるためには食事の充実は不可欠です。

・月給10数万円の選手も少なくなく

→年収が240万円に満たない選手が多いのが実態で、鳥取に関してはかなり若返っているのも、上記の費用を捻出するための苦肉の策でしょう。

・1年目はいなかったフィジカル・トレーナー

→下位のカテゴリーに行くほどスタッフの数は減り、兼任スタッフが増えていきます。通訳兼何とか…といった具合です。マルチに働ける人材は珍しいため確保も難しいのが実態です。

また、フィジカル・トレーナーがいるかどうかはかなり差が出てきます。夏場の連戦などコンディションの差が試合結果に大きく関与することがあります。特に若い選手だと選手自身もコンディション調整に関するノウハウを持っていないために自力での解決も難しくなります。

J3クラブでは予算に限りがある以上、どこにお金を使うかは重要な問題です。