(天皇杯)PKにおけるABBA方式の導入の是非

今年の天皇杯からPKにおいてABBA方式が導入されました。

そもそもPKにおけるABBA方式とはwikipediaによると、

先攻後攻が交互に蹴る方式ではなく、先攻→後攻→後攻→先攻の順番でキックを行う「ABBA方式」

PK戦 – Wikipedia

というように、記載されています。

どうしてこのようなわかりにくい方式に変わったかと言いますと、統計でPKは先行が有利という傾向が出ていることに基づいています。

イギリスの教育・研究機関ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)により、以下のような研究結果が発表されている。

1970年から2000年にかけて国内外で行なわれた主要な大会のPK戦2,820件を分析した結果、最初に蹴ったチームの60%が勝利している。言いかえれば後攻の勝率が40%ということであり、先攻の勝率は後攻の1.5倍ということである。
PKの先攻・後攻を決めるトスに勝った主将は、20人に19人(95%)の割合で先攻を選んでいる。
プロやアマの選手や監督240人を対象に行なったアンケートでも、ほぼ全員が先攻を望む。
研究を主導した教授のイグナシオ・パラシオス・ウエルタは「ポイントを先行されることからくる精神的なプレッシャーが、後に蹴るチームのパフォーマンスに明らかに影響をおよぼしている」と分析している

PK戦 – Wikipedia

もちろん、両チーム間の実力差などもあるとおもいますが、件数の多さから実力差を考慮しても十分なくらい先行有利な状況になっていると思われます。

2018年の天皇杯1回戦ですでに5試合PKが行われました。

早速ですが、ガイナーレ鳥取の監督が興味深いコメントを発していたので紹介したいと思います。

「(ABBA方式は)初めてでしたが、失敗が連鎖してもおかしくない状況で、よく決めてくれた」

www.bbm-japan.com

これまで先行と後攻が交互に蹴り合っていたことで、キッカーにしてもキーパーにしても流れをリセットすることができていたようです。

ただ、このABBA方式では2人目のキッカーというものが非常に奥深い状況になっています。直前のキッカーの流れをダイレクトに受けてしまうため、感情的にやりにくい状況に陥っているようです。

サッカーにおけるPK戦とは普段の試合以上に運の要素が強く、勢いという目に見えないものに選手たちは苛まれます。

一方で、キッカー自身がその流れを引き寄せようとすることも考えているようで、下記のような強い心臓をもっている選手もいます。

blog.domesoccer.jp


【第98回天皇杯】ジェフ千葉vsラインメール青森 ハイライト【2回戦】

クラブスタッフの本音としては、普通のPKでさえ心臓によくないのに、こういったPKのキックは本当にドキドキします…